書籍:酒類

【酒類】
著者:大宮 庫吉
発行:昭和24年(1949年)4月30日

著者紹介📝
明治14年愛媛県生まれ
42年宇和島市日本酒精株式會社入社
爾來40年を酒の醸造に終始した
技術家、經管者
大正5年京都市の四方合名會社に
轉じ同社が賨酒造會社に改組されて
大正14年に常務取締役、
昭和20年に社長に就任

(引用箇所:P284~P286)

菊芋は菊科に属する植物であつて
學名をヘリアンサス・チュペローザス
(Helianthus tuberosus)と稱し、
地下莖は極めて良く蔓延し、多數の
塊莖を生ずるものである。菊芋は
醗酵性炭水化物であるイヌリン
(Inuiln)及び果糖を多く含有して
ゐるが故に、歐米諸國に於ては以前
より果糖及び酒精の製造原料に用ひられ
旣に特用作物として優良品種の選出等が
行はれ、其の栽培収穫量は一エーカー
(約四段)當り馬鈴薯の五・七噸に對し
一〇-一二噸に達し、特に佛蘭西では、
反當一〇〇〇貫以上の収量を示す工業用
優良品種が得られてゐると謂はれてゐる。
然し、本邦に於ては此の種菊芋は最近まで
何等顧みられるところなく、僅かに東北
地方に於て山野に自生するものを農家が
飼料又は漬物用として利用するに過ぎな
かつたものである。
然るに、近年酒精醸造原料として
未利用資源の研究が旺んに施行
せられるに伴ひ、この菊芋も亦
新興原料の一つとして登場するに
到り、茲に幾多の學究者に依り其の
栽培管理や利用價値等に關し種々
なる研究の歩が進められる様に
なつたのである。
 菊芋は其の性質强健であつて繁殖力
旺盛なるばかりでなく、病蟲害に對する
抵抗力强く、然も少量の施肥にて多収穫を
擧げ得られる特性を有するが、栽培管理の
困難な點が難點とされてゐる。

菊芋のイヌリンについては
「水溶性食物繊維のイヌリン」
と言われることが多いですが当時は
「醗酵性炭水化物のイヌリン」と記載🧐

果糖も豊富の上、酒精の製造原料として
注目された特用作物、また新興原料の
1つとして重要性が高まっていく
様子が伺えます💫
繁殖力が旺盛な菊芋の難点である栽培管理、
これは昔も今も全然変わらないですね☺️

ごきげんよう👋

※出典閲覧
「味の素食の文化センター」

日本菊芋協会
キクイモニスト
菊子/犬凛
Topinambour
Artichoke