向日葵に似た菊芋の花は今も昔も観賞用

【蔬菜研究】趣味と實用
著者:喜田 茂一郎
発行:大正14年(1925年)3月20日
第九節
第三
(引用箇所:P313~314)
(成分及び用途)
菊芋は他の芋類と同じく、一五%内外の
炭水化物を含有せり。然れども、此は澱粉
の形態に非ずして、大部は
Inulin,C₆H₁₂O₆nの形をなす。菊科植物に
特有なる、炭水化物にして、其の性質は、
澱粉に類似せるも、常に細胞液に溶解せるを
以て、澱粉の如く、顕微鏡にて之を見ること
能はざるも、酒精、及び、「グリスリン」に
浸漬する時は、凝固し、よく之を檢鏡し
得べし。然れども、之を煮る時は溶けて、
原形を失ふに至る。「イヌリン」は、澱粉と
同様に、熱原質としえ、効能多きもの
なりと信ぜられ居たりしも、近年佐伯醫學
博士の説によれば、本種は、動物の消化器
の如何なる部分にも、消化せられざる不用品
なることを明にせり。右の外炭水化物として、
四%の糖分と、少量のLevulinとを含有す。
Levulinは、「ゴム」の一種にして、其の
成分澱粉に相似たり。菊芋には又一種の强き
香味あり。如何なる成分なるか不明なるも、
此の香味のために人々の忌む所となるなり。
菊芋の含有水分は、八割内外にして、甚だ
しく乾燥収縮して、食するに堪へざるに至る。
(用途)
菊芋は家畜の飼料として、多く栽培し、
調理用に供すること尠し。然れども洋食
料理としては、「バター」を以て煮、或は
Pie(パイ)(饂飩粉ウドンコを練り固めて
餅とし、其の内に、諸種の蔬菜を入れ、油焼
にしたるもの)の原料に供す。本邦にては、
之を輪切りして豚と共に煮ば、最も美味なり。
莖葉は、旺盛に繁茂する故、夏期、南側に
植ゑて、日蔭用に供すべし。花は黄色、向日葵
に似、觀賞用として、亦愛すべし。
炭水化物の大部分はイヌリンということが
記載されてますね🧐
まだまだこの当時菊芋は調理用というより
家畜の飼料として多く利用されてたようで
食用としては少ないが洋食でバターで煮たり
パイの具材として使われるととても好評価の
だったようですね!
向日葵に似た菊芋の花が畑一面に咲き並ぶ
時期は今も昔も観賞して楽しんでたことが
想像されます☺️
ごきげんよう👋
※出典閲覧
「味の素食の文化センター」
日本菊芋協会
キクイモニスト
菊子/犬凛
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