東京帝國大學農学部糧食研究會

【糧食研究】
著者:財圑法人 糧食研究會
(東京帝國大學農學部構内)
発行:大正13年(1924年)8月蓼
菊芋の栽培及需要の獎勵 P44~P48
本會員陸軍少將 石川潔太
(引用箇所:P46~47)
〇漬物
各種の漬物として適せざるはないのであるが
就中、奈良漬、麹漬、澤庵、朝漬、糠味噌漬等
最も美味であつて其齒切の良好なる誠に爽快で
何人も皆之を推賞するのである。
〇味噌汁の實
菊芋の表皮は粗薄である故に往々細き砂が
侵徹して居るから能(よ)く洗ひて之を
落し皮の儘輪切りにして使用するので
あるが頗る軟く何人も嗜好するのである。
〇揚物
皮の儘輪切りにしてメリケン粉の衣を
着け胡麻油に揚る軟くして何人も嗜好
するのである。
〇煮附
皮を剥ぎ三四分角に切り、バター又は
胡麻油にて傷め少く水を入れて煮、鹽を
加味す、頗る美味であつて何人も嗜好す、
又之にトマトソースを加へて煮れば、
更に一層美味を增すのである。
〇菊芋サラダ
皮の儘或は皮を剥ぎ二三分位に切り
鹽茄となし湯を去りて之を皿に盛り
マヨネーズゾース又はホワイトソース
を掛けて食すれば美味であつて何人の
嗜好にも適するものである。
〇菊芋ソップ
菊芋を茄で裏漉し又は押し潰し之を
ソップの中に入れて煮よく攪拌し薄く
ドロく(ドロ)になす、之は何人の
嗜好にも適するが殊に老人や病後の人や
小兒の榮養として最も適するのである。
※味噌汁の實の實とは中身、具材のこと
※菊芋ソップのソップとはスープのこと
オランダ語のソップ(soep)が語源
素朴な料理ですが菊芋の美味しさが
そのまま引き立ちそうなレシピばかり!
これまでご紹介した大正時代のレシピは
皮を剥いて調理することが多いですが
こちらの揚物とサラダは皮の儘!と
ありましたね☺️
文章の中で言葉づかいや作り方が
大正時代の雰囲気なのでしょうか💫
みんなが美味しく感じるというのは
「何人も嗜好する」と語っておられ
ますね。読んでいてとても新鮮です🧐
ごきげんよう👋
※出典閲覧
「味の素食の文化センター」
日本菊芋協会
キクイモニスト
菊子/犬凛
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